捜査機関は、目の前の「被疑者」が罪を免れるために言い逃れをしているのではないかと疑い、執拗な取調べが続くことになります。取調べにおいては、密室で捜査官と被疑者が１対１で対峙することとなり、その場で助けを受けることもできず、自白に追い込まれます。

刑事訴訟法は、「被告人は自分に不利な嘘をつかない」という前提で作られており、一度自白してしまえば覆すのは至難です。

• 有罪であるとの思い込み

  警察官は、犯人に間違いないと思うからこそ逮捕します。検察官は、犯人に間違いないと思うからこそ勾留を請求し、起訴します。裁判官は、検察官が起訴したのだから有罪の証拠があるのだろうと思ってしまいます。

  警察も、検察も、裁判官も、有罪に間違いないだろうと思い込んでいるのです。

  

• 自白偏重の取調

  無実の人は自白なんてしないという思い込み。裁判官も、取調べで自白していたのなら有罪に間違いないだろうと考えてしまいます。そんな裁判官の心がわかっているから、警察官も、検察官も、取調べで何とか自白させようとします。

  いったん自白調書を作ってしまうと、裁判官は、少しくらい疑問が残っても自白しているならと、安心して有罪判決を下してしまいます。

  

• 弁護人の立会いができない

  取調べで、警察官や検察官と対峙するのは被疑者だけ。取調室に弁護人はいません。それが今の日本の現状です。

  百戦錬磨の捜査官が、手練手管を駆使して、黙秘権を行使しようとしても話すように迫り、いくら無実だと説明しても聞き入れてくれず、自白を内容とした供述調書を作るように求めてきます。

  法的知識もなく、取調べや裁判の経験のない被疑者は、本当はやってなくても「やりました」と自白してしまいます。